HAZAI PICKING – vol.1 イチゴ狩り的な –ハザイを狩って、持ち帰る

イチゴ狩りのように、ハザイを狩る体験型展示
ハザイには果物と同じように「旬」があります。その時々の工場の仕事によって生まれるハザイも様々だからです。
本展は、見て触って、お気に入りのハザイが収集できる、イチゴ狩りのような体験型展示。 これは、Palabが工場でハザイ収集をする行為の追体験になっています。マテリアルと向き合い、対話することで様々な出会いや発見があるはずです。
ゴミを捨てない、リサイクルするといった「正しいこと」が是とされる昨今ですが、僕らは「正しさ」より「楽しさ」に焦点を当てています。そもそもハザイは僕らにとって、人工的な生産活動から副次的に生まれる故、意図しない形や、偶発的な色などがあり、見ていて楽しいのです。そしてハザイは現代の産業と密接な関係にあり、ハザイを通して現代社会や人々の営みさえも垣間見ることができます。本展では、ハザイをよく観察し、視点を変えると変化するハザイの楽しさを感じてみてください。
また、本展では「もぎたてのハザイ」で工作ができるDIYスペースも設けています。見方を変えると世界は面白いものに溢れている、 その視点変換のきっかけになればと思います。
HAZAI TO-GO
【ハザイをテイクアウト】
Palabの創作活動においてハザイと出会う時、それは最も興奮する瞬間です。
【HAZAI TO-GO】は、Palab(パラボ)が工場や作業場から収集した、偶発的に生まれたハザイを自由に袋に詰めて持ち帰りができる体験型パッケージの提案です。今回はPalabの活動拠点である東京都江東区の工場を中心に、選りすぐりのハザイを集めています。
色や形が気になったり、質感が気になったりと、人によってマテリアルとの対話は無限大。集めた端材は工作するも良し、パッケージを額に見立ててそのまま飾るも良し。あなたの感性でお楽しみください。


HAZAI SUSHI
【ハザイを味覚で観察する】
視点を変えてマテリアルと対話する、これはPalabが創作するときに大切にしているポイントです。
【HAZAI SUSHI】は、もしもハザイを美味しそうか否かで見ることがでれば、これまでとは異なるハザイとの対話が可能になるのではないか、 というアイデアから生まれた作品です。シャリはハザイを磨く清掃用スポンジを使用し、ネタはハザイで構成しています。
「寿司」は、シャリというフォーマットに、ネタを変えることで無限の組み合わせが生まれる日本ならではの食文化です。アイデアの起点は、Palabの活動拠点である東東京エリアを中心とした江戸前寿司の歴史です。


HAZAI BADGE
【身にまとう感覚でハザイを選ぶ】
アクセサリーを選ぶように、服装に合わせてハザイを選んでみる、そんなファッション感覚でハザイを観察するとマテリアルと新たな対話ができるのではないか。
【HAZAI BADGE】は、ハザイをアクセサリーのように身にまとうことをイメージし、「缶バッジ」というフォーマットに落とし込んだ体験型の作品です。
江東区は木材産業で発展してきた歴史背景から、紙工業が盛んです。これらの工場を横繋ぎし、面での魅力創出ができないか、という想いが創作のきっかけになっています。


作例を通してハザイの可能性を共有する
曲げる、くっつける、熱を加える、ひっくり返す... 。Palabは、そのハザイに合った加工方法を繰り返し実験しています。
ここでは、これまでにPalabが実験してきた作品の一部を展示しています。工業製品と違い、ハザイは採取のタイミング次第でその姿が変わります。新しい製品が世に発表された時、その裏側ではまた新たなハザイが生まれる、それに合わせPalabの作品も変化していきます。
ハザイは目的を持って生まれてきたものではなく、偶発的で無目的な存在だからこそ、アイデンティーを尊重し、その姿形から妄想した私たちなりの最適な表現を探求しています。

狩ったハザイをその場で加工できるスペース
ここは、収穫したもぎたてのハザイで工作ができるDIYスペースです。卓上の文房具はご自由にお使いください。ご不明な点がありましたら近くのスタッフにお声がけください。
工作スペースは数に限りがありますので、譲り合ってご利用ください。また、工作を終えたあとはお近くのゴミ箱に、ハザイのハザイをお捨て頂くようご協力お願いします。
あなたの作品に出会えることを私たちも楽しみにしています。

本展を企画して
本イベントではフロアコンセプトがDIYだったので、そのテーマと親和性の高い体験型インスタレーションだったと思う。ハザイが並んでていて「捨てるものだから持って帰っていいよ」ということではなく、そこに体験者に馴染みのあるテーマ設定を組み込むこと(今回で言うとイチゴ狩り)で、良い意味でのノイズが生まれ、好奇心を掻き立てられたのではないかと思う。
今回の実験では、ハザイの見せ方(Palabではそれをたまにガワという)を創意工夫すること、共通言語のテーマ設定を立てることで、相互コミュニケーションが生まれる場を作れることがわかった。
文章 : ヤマノ タカトシ
