深川生まれのハザイ寿司無印良品 有明店

新鮮なネタ集め
江東ブランドに加盟している江東区内の工場は、紙やゴム、皮に金属など様々な素材を扱っている。それら1つ1つの工場を巡り、新鮮なハザイを収集、なるべく元の形状を保ちながら加工しやすいサイズに揃えていく。寿司として並べたときに色や形状のバリエーションが楽しめるようにハザイを選定していく工程は、これまでのハザイいじりとはまた違った目線で、素材と向き合うことができた。

江戸時代の屋台をモチーフに
ネタの提供方法や場づくりは、江戸時代の寿司屋台を参考にした。暖簾をかけることで遠くからも視認できるようにし、イベントの賑わい感を醸し出している。対面式でネタを提供することで、ハザイの説明を行いながらコミュニケーションを取ることができた。
今回の実験ではハザイの減りがいつもより少なかったことは気づきである。これは制作物のイメージが体験者にあるため、必要最低限の素材を吟味していたからだと推測。ハザイのお持ち帰りのみだと無造作にガッと持って帰る人もいるが、制作物のイメージがある方が、よりハザイを観察することに繋がるのだと感じた。


端材図鑑
また、今回は新たな試みとして提供するハザイをアーカイブしたハザイ図鑑を作成し配布を行なった。これは自分達の情報整理であると同時に、ハザイへの興味のきっかけになることを期待して制作したもので、今回は子供が制作している間に大人がこの本を読んでいるシーンが度々見受けられた。Palabとしてはこの本を厚くしていくことでハザイの一覧化、素材としての特徴の分布を引き続き行なっていきたい。


ハザイに夢中!意外と大人の方が熱中!
イベント時は工作スペースを設け、それぞれが思い描く作品を制作していた。はやくから作りたいもののイメージがある子は、手を動かすスピードが早く、逆に手を動かしながらじっくりと素材と向き合ってつくる大人もいた。
卵やマグロなど、既存の寿司ネタに見立てる人もいれば、架空の寿司を創り出す人もいてユニークな光景が広がっていた。
これまでPalabでは、あるハザイにフォーカスして実験を行い、作品化することで実証実験を繰り返してきたが、複数のハザイを使用したフォーマットは新たな試みであったので、1つの展開手段として可能性を感じた。


多くの人がこの実験に参加してくれたが、ここではその一部を紹介。
寿司というパッケージは日本的で、特に江戸の中心であった東東京エリアらしいコンテンツだと改めて実感。
子供から大人まで、さらには海外の人までノンバーバルで通じ合えるコンテンツとして、さらに磨いていける実験材料だと感じている。
文章 : ヤマノ タカトシ

