Palab parallel laboratory

EXHIBITION
#020 渋谷・青海
date:2024.09.15

回転ハザイ寿司 20248/CUBE(渋谷ヒカリエ)と、ARTBAY TOKYO(日本科学未来館)で巡回

回転ハザイ寿司 @渋谷ヒカリエ 8/CUBE

これまで取り組んできたハザイ寿司をアップデートし、回転寿司の体験要素を加えた体験型インスタレーション。Palabのロゴを作成してくれたグラフィックデザイナーの金谷氏ともコラボレーションしたビジュアルイメージも更新しました。

端材とは、工場の製造工程や加工過程で生まれる製品には不要な材料や切れ端のこと。 例えば、 紙を切断した際に出る余り部分などが典型的な端材です。

本展は、 端材 (ハザイ) を主材として作品を創るPalab (パラボ)による体験型インスタレーションです。 今回は味覚を頼りにネタ(ハザイ)を選んで寿司を握り、 中央の回転レーンに流す「回転ハザイ寿司」を制作。ハザイ寿司が回転することで、工場と人、つくる人と見る人の繋がりを創出。みなさまの参加が関係性を築き、完成される作品です。

ゴミを捨てない、リサイクルするといった「正しいこと」が是とされる昨今ですが、私たちは「正しさ」より「楽しさ」を創り出します。

見方を変えると世界は面白いものに溢れている。
本展では、 ハザイをよく観察し、 視点を変えると見えてくるハザイの楽しさを感じてみてください。

イントロダクションの空間
体験の流れを紹介

ハザイ × 寿司

視点を変えて端材(ハザイ)と対話する、 これはPalabが作品を制作するときに大切にしているポイントです。

【ハザイ寿司】は、ハザイを「甘そう」、「しょっぱそう」、「酸っぱそう」、「苦そう」、「旨そう」など、物の味を感じ知る感覚で観察することができれば、新たな視点でハザイと対話ができるのではないか、 という発想から生まれた作品です。

工場などから生まれる、捨てられるはずのハザイをよく観察すると、 それぞれに独自性のある面白い表情や、 柔らかい・硬いなどの触感、 謎の文字や記号が記されていることなど気付きます。そんなハザイを一つ一つ厳選し、シャリに見立てたスポンジと組み合わせることで寿司を創作します。

「寿司」は、 シャリというフォーマットに、 ネタを変えることで無限の組み合わせが生まれる日本ならではの食文化です。 アイデアの起点は、 Palabの活動拠点である東東京エリアを中心とした江戸前寿司の歴史です。

ハザイ寿司のつくり方

ハザイを厳選し、寿司を握る。

ハザイはその時の工場の仕事によって姿が変わります。新しい製品が世に発表された時、その裏側ではまた新たなハザイが生まれ、それに合わせハザイ寿司も変化していきます。

本展では、一番奥のエリアに今が旬の端材をご用意しました。体験者はそれらの中から自分のお気に入りのハザイを選び、寿司を握ることができます。

また、ハザイ寿司は自由に名前をつけるところまでが体験の一部です。テーブルに置いてある名札に名前を書いてレーンまでお持ちください。

折る、曲げる、切る、ひっくり返す、... 。
あなただけのハザイ寿司を握ってみてください。

【基本的な流れ】
1、好きなサイズの箱を購入します
2、ネタになるハザイをカットし、シャリ(スポンジ)とくっつけます
3、ハザイ寿司に名前をつけて、回転させます
4、流れてきた自分でつくった寿司は、箱に詰めてお持ち帰りいただけます

ギャラリーに突如出現した回転寿司屋

工場などから生まれる、捨てられるはずの端材(ハザイ)をよく観察すると、それぞれに独自性のある面白い表情や、柔らかい・硬いなどの触感、謎の文字や記号が記されていることなど気付きます。

それらハザイをネタに、シャリに見立てたスポンジと組み合わせることで寿司を創作し、回転レールに流すことで、様々な想像が膨らむ場を提供。

参加者それぞれの「味覚」の観点からハザイの魅力と可能性を探求し、新たな価値を生み出す体験型インスタレーションです。

※会場での体験の流れについては動画をご覧ください

動画 Instagram

回転ハザイ寿司 @ARTBAY TOKYO(日本科学未来館)

ARTBAY TOKYO(日本科学未来館)にも回転ハザイ寿司で参加しました。こちらの展示会場が江東区内だったこともあり、江東ブランドとコラボレーションする形で工場の紹介コーナーも併設。

こちらの展示でも数多くの人に参加してもらい、会期中は行列ができるほどの賑わいでした。

また、両展示ともにハザイが生まれるところの映像を流すことで、工場に対する興味やハザイについて知る機会も作れたと思います。

本展を通して

本作では、体験者が制作者(寿司職人)であり、鑑賞者(カウンターで寿司を待つ人)でもあるという関係性をつくっています。一般的な展示での鑑賞体験ではなく、その場において作家にも鑑賞者にもなり得る体験は、つくるとは何か?見るとは何か?の問いかけでもあります。

また、Palabでは会期開始時の参考寿司は作りますが、実際に会期が始まると回転レーンで流れている寿司のほとんどは、本展に参加した人たちのものになっていきます。なので、会期中に複数回訪れても、流れている作品が変わっている楽しさがあります。これは展示期間中に時間によって変化する作品とも言えます。

一方向的なメッセージングの作品ではなく、参加者によって作品が豊かにも変化していく体験型インスタレーションです。


文章 : ヤマノ タカトシ

初期構想スケッチ

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