古民家のハザイで作品をつくり、宿に戻すBYAKU Narai アートワーク

古民家を改修した宿泊施設
長野県の重要伝統的建造物群保存地区、宿場町である奈良井宿の古民家を活用し、2棟の歴史的建造物を改修して宿泊施設に再生させるプロジェクト。Palab(パラボ)は、2棟4室の客室アートワークを担当しました。宿は2023年8月4日(金)より開業しています。
欄松 RANMATSU
彫刻欄間の一部を切り取り、それを現代的な盆栽として再構築。一連の風景の彫刻から松だけを取り出すことによって予期せぬ偶発的な美しいフォルムが現れた。台座はMDFを鉢植えに見立てて構成。過去と現在の調和を象徴した新たな物語を想起させる作品。


格影 Kakuei
格子書院戸を分解し塗装、新たにステンレスフレームで再構成することで陰影の中に生まれる繊細な美しさを表現。2枚1対の構成は、固定概念に縛られず上下左右を自由に再配置することで、新たな風景を描き出すことを試みている。



襖天 FUSUTEN
襖絵と天袋絵とで構成することで新たな風景を創出する。この作品は、それぞれの絵柄が持つ日本ならではの美と物語性を尊重しつつ、それらを再解釈し、視覚的な新鮮さを生み出す試み。この新たな風景から見る者それぞれが自分だけの物語を想像し、絵との新たな関係性を築く。




Shadow play -Re-creation of an old artwork-
蔵の壁面を解体した際に、現れた年代不詳の絵を再構成し、アクリルに彫刻することで影としてグラフィックを表現。この表現手法は、解体するまで存在が忘れられていた絵の存在から着想しており、光がないと成立しない作品であることから、本プロジェクト全体における再生することの意義を暗に示している。
古民家が紡いできた歴史や文化を残しつつも、現代的な解釈を加えることで現代の旅人をもてなすアートワークになったのではないかと考えています。また、これらの作品群は町の文脈にも沿っており、単なる飾りではなく文化的な側面を持っていることも意義の1つではないかと思っています。
文章 : ヤマノ タカトシ


