Palabが選ぶ、面白い端材と実験の展示
面白い端材と実験のプロセス展示
MTRL京都(マテリアル京都)にて京都Design weekに併せ行われたPalabの展示会「parallel laboratory ・(てん)」。この展示会ではPalabが様々な所で発見した端材の中からセレクトした面白い端材の紹介と、その端材から見えてくる可能性の実験を展示した。展示構成としては各端材ごとのコーナを用意。各コーナーで様々な端材の情報と実験を見ることができる。
端材をよく観察すると偶に「グッ」とくる
palabの基本スタンスとしては面白いと思った端材を見つけ、端材の観察→実験→検証のプロセスで端材の可能性を考えることにしている。初めの観察では端材のバックボーン(どうしてこの形になったか)はもちろんのこと、端材自体の材質や形状、色などの特徴を細かく細分化して観察し、出来そうなことを見つけ出す。そしてその端材が出来そうなことを一つ一つやってみる。(材質がゴムだったらひたすら伸ばしてみるなど)そうすると偶然にも何かになりそうだったり、感覚的にグッと来たりするものが見えてきたりする。
今回の展示ではそれらのプロセスを一覧で見ることができる展示であった。
実験を経て出来たもの
端材の紹介や実験のみならず、実験の結果何が生まれてどのようになったかを知ってもらうため、実験を経て作品などへと展開したものも併せて展示を行った。
滞在し、周辺の工場で見つけた端材も探索、展示
今回の展示期間中滞在制作も行い、周辺の工場などから出る端材を調査し、随時展示に追加していった。その中で特に面白かったのが印刷工場から出る「印刷の機械の中に残っているインクを最後に拭く布の端材」だ。印刷工場ではCMWKの色ごとに機械があり、印刷し終えると最後にインクがたまるらしく、それらを拭き取るらしい。そして拭き取った布は廃棄されるのだが、よく見ると狙っては出せない色合いがなんだかカッコよかった。
「意図しないものはワクワクする」という視点の共有
今回の展示では、端材の紹介から実験、そこから見えてきた作品まで様々な形で展示を行ったのだが、詰まるところ僕らはこれらの端材(意図せず偶発的に出るもの)を見るとワクワクしてしまうのだ。今回の展示で総じて伝えたいことは、そんな気持ちや視点を共有できればと思い行った。人が意図して作り出したものから端材として生まれる「意図しないで出てきてしまうもの」を丁寧に観察するとなんとも不思議なものが出来上がる。そんな世界(parallel World)を今後も創っていきたい。
文章 : 中里洋介